身体に良い成分|ファイトケミカルの力【完全ガイド第4回】

ファイトケミカルを豊富に含む17種類の食品(緑茶、ブルーベリー、大豆、ターメリック、赤ワイン、コーヒー、トマト、ほうれん草、サケ、ブロッコリー、ニンニク、鶏胸肉など)の抗酸化作用と健康効果を示すイラスト 健康とウェルネス

「老化を遅らせたい」「病気を予防したい」——その答えは植物の力にある

はじめに

「最近、老けた気がする」 「将来の病気が心配」 「アンチエイジングに効果的な食べ物は?」

こんな悩みを抱えていませんか?

実は、野菜や果物に含まれるファイトケミカルという成分が、老化防止や病気予防に大きな効果を持っています。

ファイトケミカルは、ビタミンやミネラルのように「必須栄養素」ではありませんが、強力な抗酸化作用や抗炎症作用を持ち、「第7の栄養素」とも呼ばれています。

この記事では、ファイトケミカルの種類と効果、そして効率的な摂り方を徹底解説します。

ファイトケミカルとは?

ファイトケミカル(Phytochemical)は、植物が紫外線や害虫から身を守るために作り出す化学物質です。「ファイト(Phyto)」はギリシャ語で「植物」を意味します。

野菜や果物の色、香り、苦味、辛味の正体が、このファイトケミカルです。

特徴 内容
種類 数千種類以上が発見されている
主な効果 抗酸化、抗炎症、抗がん、免疫調整
摂取源 野菜、果物、豆類、ナッツ、お茶、ハーブ
必須性 必須栄養素ではないが、健康維持に重要

なぜファイトケミカルが重要なのか?

活性酸素と老化

私たちの体は、呼吸するだけで活性酸素を発生させます。活性酸素は適量なら免疫機能に役立ちますが、過剰になると細胞を傷つけ、老化や病気の原因になります。

活性酸素が引き起こす問題:

•肌のシミ、シワ、たるみ

•動脈硬化、心疾患

•がん

•認知症

•慢性炎症

ファイトケミカルは、この活性酸素を除去する抗酸化作用を持っています。ビタミンC、Eも抗酸化作用がありますが、ファイトケミカルはさらに強力で多様な効果を持つものが多いのです。

ファイトケミカルの主な種類

ファイトケミカルは大きく以下のグループに分けられます:

グループ 特徴 代表的な成分
ポリフェノール 植物の色素・渋味成分 カテキン、アントシアニン、イソフラボン
カロテノイド 赤・黄・橙色の色素 β-カロテン、リコピン、ルテイン
含硫化合物 硫黄を含む成分、独特の香り アリシン、スルフォラファン
その他 テルペン、サポニンなど リモネン、カプサイシン

ポリフェノール

ポリフェノールは、植物に広く存在する抗酸化物質で、8,000種類以上が発見されています。

カテキン:緑茶の健康パワー

項目 内容
効果 抗酸化、脂肪燃焼、抗菌、血糖値上昇抑制
多い食品 緑茶(特に煎茶、抹茶)
1日の目安 緑茶3〜5杯(カテキン500mg程度)

緑茶に含まれるカテキン(特にEGCG)は、脂肪の燃焼を促進し、内臓脂肪を減らす効果が研究で確認されています 。また、口腔内の細菌を抑制し、口臭予防にも効果があります。

実践のコツ: 食後に緑茶を飲む習慣をつける。抹茶は茶葉をまるごと摂取できるので、カテキン量が最も多い。

アントシアニン:目と血管を守る紫の力

項目 内容
効果 抗酸化、目の健康(視力維持)、血管保護、認知機能改善
多い食品 ブルーベリー、ぶどう、紫キャベツ、なす、黒豆
特徴 紫・青・赤色の色素

アントシアニンは、目の網膜にあるロドプシン(視覚色素)の再合成を助け、目の疲れや視力低下を防ぎます 。また、血管の弾力性を保ち、動脈硬化を予防する効果もあります。

実践のコツ: ブルーベリーを毎日一握り(約50g)食べる。冷凍でもOK。

イソフラボン:女性ホルモンに似た働き

項目 内容
効果 女性ホルモン様作用、骨の健康、更年期症状の緩和、美肌
多い食品 大豆、豆腐、納豆、味噌、豆乳
1日の目安 40〜50mg(納豆1パック、豆腐半丁程度)

イソフラボンは、女性ホルモン(エストロゲン)に似た構造を持ち、更年期症状の緩和や骨粗しょう症の予防に効果があります 。男性にとっても、前立腺がんの予防効果が報告されています。

実践のコツ: 毎日、納豆1パックまたは豆腐半丁を食べる。味噌汁も効果的。

ケルセチン:抗アレルギーの味方

項目 内容
効果 抗酸化、抗炎症、抗アレルギー、血圧低下
多い食品 タマネギ(特に皮に近い部分)、りんご、ブロッコリー
特徴 加熱しても壊れにくい

ケルセチンは、ヒスタミンの放出を抑制し、花粉症などのアレルギー症状を緩和する効果があります。

実践のコツ: タマネギは皮をむきすぎない。外側の茶色い部分に近いほどケルセチンが多い。

クルクミン:肝臓を守るウコンの力

項目 内容
効果 抗炎症、肝機能保護、抗酸化、認知機能改善
多い食品 ウコン(ターメリック)、カレー粉
吸収率 単体では低いが、黒コショウ(ピペリン)と一緒に摂ると20倍に

クルクミンは強力な抗炎症作用を持ち、関節炎の痛みを軽減する効果が研究で示されています 。

実践のコツ: カレーを食べる際は、黒コショウを多めに。ターメリックラテもおすすめ。

レスベラトロール:長寿遺伝子を活性化

項目 内容
効果 抗酸化、長寿遺伝子(サーチュイン)活性化、心血管保護
多い食品 ぶどう(皮)、ピーナッツ(薄皮)、ベリー類
注意 ワインにも含まれるが、アルコールのデメリットを考慮

レスベラトロールは、カロリー制限と同様の効果で長寿遺伝子を活性化することが動物実験で示されています 。

実践のコツ: ぶどうは皮ごと食べる。ピーナッツは薄皮付きを選ぶ。

クロロゲン酸:コーヒーの健康成分

項目 内容
効果 抗酸化、血糖値上昇抑制、脂肪燃焼促進
多い食品 コーヒー、さつまいも、ごぼう
1日の目安 コーヒー3〜4杯程度

コーヒーを1日3〜4杯飲む人は、飲まない人に比べて2型糖尿病のリスクが約25%低いという研究結果があります 。

実践のコツ: 砂糖やミルクを入れすぎない。ブラックか少量のミルクで。

カロテノイド

カロテノイドは、野菜や果物の赤・黄・橙色の色素です。強力な抗酸化作用を持ち、特に目の健康に重要です。

β-カロテン:ビタミンAの前駆体

項目 内容
効果 抗酸化、免疫強化、ビタミンAに変換(目・肌の健康)
多い食品 ニンジン、かぼちゃ、ほうれん草、小松菜
吸収率 油と一緒に摂ると吸収率アップ

β-カロテンは体内で必要な分だけビタミンAに変換されるため、過剰症の心配がありません。

実践のコツ: ニンジンは油で炒めると吸収率が3倍に。

リコピン:最強の抗酸化力

項目 内容
効果 抗酸化(ビタミンEの100倍)、前立腺がん予防、美肌
多い食品 トマト、スイカ、ピンクグレープフルーツ
吸収率 加熱すると吸収率が3〜4倍に

リコピンは、カロテノイドの中で最も強い抗酸化力を持っています。前立腺がんのリスクを下げる効果が多くの研究で報告されています 。

実践のコツ: トマトは加熱調理(トマトソース、スープ)で。オリーブオイルと一緒に摂るとさらに吸収アップ。

ルテイン・ゼアキサンチン:目を守る黄色い盾

項目 内容
効果 目の黄斑部を保護、ブルーライトから目を守る、白内障予防
多い食品 ほうれん草、ケール、ブロッコリー、卵黄
1日の目安 6〜10mg

ルテインとゼアキサンチンは、目の網膜(黄斑部)に蓄積し、有害な光から目を守ります。加齢黄斑変性症の予防に効果があります 。

実践のコツ: ほうれん草を週に3回以上食べる。卵黄にも含まれるので、卵も毎日食べる。

アスタキサンチン:海の抗酸化パワー

項目 内容
効果 抗酸化(ビタミンEの1,000倍)、美肌、疲労回復、目の健康
多い食品 サケ、エビ、カニ、いくら
特徴 赤い色素、脳や目にも届く

アスタキサンチンは、血液脳関門を通過できる数少ない抗酸化物質で、脳や目を直接保護できます。

実践のコツ: 週に2〜3回はサケを食べる。皮にも多く含まれるので、皮ごと食べる。

含硫化合物

硫黄を含む成分で、ニンニクやブロッコリーの独特の香りの正体です。解毒作用や抗がん作用が注目されています。

アリシン:ニンニクの健康パワー

項目 内容
効果 抗菌、血液サラサラ、疲労回復、免疫強化
多い食品 ニンニク、タマネギ、ネギ、ニラ
活性化 切る・潰すことで生成される

アリシンは、ニンニクを切ったり潰したりすることで生成されます。切ってから10分ほど置くと、アリシンの生成が最大になります。

実践のコツ: ニンニクは切ってから10分置いて調理。加熱しすぎると効果が減少するので、最後に加える。

スルフォラファン:解毒の王様

項目 内容
効果 解毒酵素の活性化、抗がん、抗酸化、ピロリ菌抑制
多い食品 ブロッコリースプラウト(最強)、ブロッコリー、キャベツ
特徴 ブロッコリースプラウトには成熟ブロッコリーの20〜50倍

スルフォラファンは、体内の解毒システム(第2相解毒酵素)を活性化し、発がん物質を無毒化します 。

実践のコツ: ブロッコリースプラウトを週に2〜3回、サラダやサンドイッチに。よく噛んで食べると効果アップ。

イソチオシアネート:辛味成分の健康効果

項目 内容
効果 解毒、抗がん、消化促進
多い食品 大根、わさび、からし、クレソン
特徴 辛味の正体

大根おろしの辛味成分がイソチオシアネートです。消化を助け、胃もたれを防ぐ効果があります。

実践のコツ: 焼き魚に大根おろしを添える。わさびは刺身に。

その他の機能性成分

GABA:リラックス成分

項目 内容
効果 リラックス、ストレス軽減、血圧低下、睡眠改善
多い食品 発芽玄米、トマト、発酵食品(キムチ、味噌)
特徴 神経伝達物質として脳内でも働く

GABAは、興奮を抑える神経伝達物質で、リラックス効果があります。

実践のコツ: 白米を発芽玄米に変える。トマトを毎日食べる。

オルニチン:肝臓と疲労回復

項目 内容
効果 肝機能改善、疲労回復、成長ホルモン分泌促進
多い食品 シジミ(最強)、キノコ、チーズ
特徴 アンモニアの解毒を助ける

シジミに含まれるオルニチンは、肝臓でのアンモニア解毒を助け、疲労回復に効果があります。

実践のコツ: 二日酔いの朝はシジミの味噌汁。週に1〜2回はシジミを食べる。

イミダゾールペプチド:抗疲労成分

項目 内容
効果 抗疲労、抗酸化、持久力向上
多い食品 鶏胸肉(最強)、マグロ、カツオ
特徴 渡り鳥が長距離飛行できる秘密

鶏胸肉に含まれるイミダゾールペプチドは、科学的に疲労軽減効果が証明されている数少ない成分です 。

実践のコツ: 鶏胸肉を週に3〜4回食べる。サラダチキンでもOK。

ファイトケミカルを効率よく摂る食事例

「色」で覚える食事法

野菜や果物の色は、含まれるファイトケミカルを示しています。毎日5色以上を目指しましょう。

主なファイトケミカル 食品例
リコピン、アントシアニン トマト、スイカ、いちご
β-カロテン ニンジン、かぼちゃ、みかん
ルテイン、フラボノイド とうもろこし、レモン、バナナ
クロロフィル、ルテイン ほうれん草、ブロッコリー、緑茶
アントシアニン ブルーベリー、なす、紫キャベツ
アリシン、イソチオシアネート ニンニク、タマネギ、大根
アントシアニン 黒豆、黒ゴマ、のり

1日の食事例

朝食:

•緑茶 → カテキン

•納豆 → イソフラボン

•トマト入り味噌汁 → リコピン、イソフラボン

昼食:

•サケ定食 → アスタキサンチン

•ほうれん草のおひたし → ルテイン、β-カロテン

•ブロッコリー → スルフォラファン

間食:

•ブルーベリー → アントシアニン

•ナッツ → レスベラトロール(ピーナッツ)

夕食:

•鶏胸肉 → イミダゾールペプチド

•ニンニク炒め → アリシン

•紫キャベツのサラダ → アントシアニン

まとめ:ファイトケミカル摂取のポイント

成分 主な効果 特に多い食品
カテキン 脂肪燃焼、抗酸化 緑茶
アントシアニン 目の健康、血管保護 ブルーベリー
イソフラボン 骨の健康、美肌 大豆、納豆
リコピン 最強の抗酸化 トマト(加熱)
ルテイン 目の保護 ほうれん草
アスタキサンチン 抗酸化、美肌 サケ
スルフォラファン 解毒、抗がん ブロッコリースプラウト
アリシン 抗菌、疲労回復 ニンニク
イミダゾールペプチド 抗疲労 鶏胸肉

3つの実践ポイント:

1.毎日5色以上の野菜・果物を食べる

2.緑茶を1日3〜5杯飲む

3.週2〜3回はサケ、毎日納豆を食べる

次回予告

第5回では、身体に悪い成分について解説します。

トランス脂肪酸、AGEs(終末糖化産物)、発がん性物質——知らないうちに摂取している有害物質と、その避け方を学びましょう。

参考文献

[1] Hursel R, et al. “The effects of green tea on weight loss and weight maintenance: a meta-analysis.” Int J Obes. 2009;33(9):956-961.

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この記事は「栄養完全ガイド」シリーズの第4回です。

シリーズ一覧:

•第1回:栄養素の基本|三大栄養素の働きと選び方

•第2回:ビタミン完全ガイド|13種類の働きと食品

•第3回:ミネラル完全ガイド|16種類の働きと食品

•第4回:身体に良い成分|ファイトケミカルの力(この記事)

•第5回:身体に悪い成分|避けるべき食品と成分

•第6回:目的別食品ガイド|肉体・精神・社会的健康のための食事

最終更新:2026年1月

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