「足がつる」「貧血」「骨が心配」——その悩み、ミネラル不足かも
はじめに
「夜中に足がつって目が覚める」 「貧血気味で、立ちくらみがする」 「将来の骨粗しょう症が心配」
こんな悩みを抱えていませんか?
これらの症状、実はミネラル不足が原因かもしれません。
ミネラルは体内で合成できないため、すべて食事から摂る必要があります。しかし、現代の食生活では、特定のミネラルが不足しがちです。
この記事では、16種類のミネラルについて、「なぜ必要なのか」「不足するとどうなるのか」「何を食べればいいのか」を徹底解説します。
ミネラルとは?
ミネラル(無機質)は、体の機能を正常に保つために必要な微量栄養素です。体重の約4%を占め、骨や歯の材料になるほか、体液のバランス調整、酵素の活性化、神経伝達など、様々な役割を担っています。
ミネラルは大きく2種類に分けられます:
| 種類 | 特徴 | 種類数 | 1日の必要量 |
| 主要ミネラル(多量ミネラル) | 体内に比較的多く存在 | 7種類 | 100mg以上 |
| 微量ミネラル(必須微量元素) | 体内に少量だが不可欠 | 9種類 | 100mg未満 |
主要ミネラル(7種類)
カルシウム:骨と神経の要
| 項目 | 内容 |
| なぜ必要? | 骨・歯の材料、筋肉収縮、神経伝達、血液凝固 |
| 何をする? | 骨・歯の構成成分(体内の99%)、残り1%は血液・筋肉・神経で重要な役割 |
| 不足すると | 骨粗しょう症、筋肉けいれん(足がつる)、イライラ |
| 過剰だと | 腎臓結石、他のミネラル吸収阻害 |
| 1日の推奨量 | 男性750〜800mg、女性650mg |
日本人のカルシウム摂取量は、長年にわたり推奨量を下回っています。特に若い女性の不足が深刻です 。
カルシウムを多く含む食品:
| 食品 | 含有量(100gあたり) | 吸収率 | 特徴 |
| 干しエビ | 7,100mg | 中 | 少量で大量摂取可能 |
| 牛乳 | 110mg | 高(40%) | 吸収率が最も高い |
| 小松菜 | 170mg | 中(19%) | ビタミンKも豊富 |
| 木綿豆腐 | 120mg | 中 | イソフラボンも |
| しらす干し | 520mg | 中 | ビタミンDも豊富 |
| ヨーグルト | 120mg | 高 | 乳酸菌も摂れる |
吸収率を上げるコツ: ビタミンDと一緒に摂る(サケ、キノコ、日光浴)。リンの過剰摂取(加工食品)を避ける。
リン:エネルギーと骨の材料
| 項目 | 内容 |
| なぜ必要? | 骨・歯の材料、エネルギー代謝(ATP)、細胞膜の構成 |
| 何をする? | カルシウムと結合して骨を形成、ATPの構成成分 |
| 不足すると | 骨軟化症、筋力低下(通常は不足しにくい) |
| 過剰だと | カルシウムの吸収阻害、骨粗しょう症リスク |
| 1日の目安量 | 1,000mg(成人) |
リンは加工食品に多く含まれるため、現代人は摂りすぎが問題です。カルシウムとリンの理想的な比率は1:1〜1:2ですが、加工食品が多い食生活では1:4以上になることも。
注意すべき食品: 加工肉、清涼飲料水、インスタント食品、スナック菓子
マグネシウム:300以上の酵素を動かす
| 項目 | 内容 |
| なぜ必要? | 酵素の活性化、筋肉・神経機能、エネルギー代謝、骨の健康 |
| 何をする? | 300以上の酵素反応に関与、筋肉の弛緩、神経の安定 |
| 不足すると | 筋肉けいれん、不整脈、イライラ、不眠、偏頭痛 |
| 1日の推奨量 | 男性340〜370mg、女性270〜290mg |
マグネシウムは「抗ストレスミネラル」とも呼ばれ、ストレスが多いと消費量が増加します。日本人の約70%がマグネシウム不足と言われています 。
マグネシウムを多く含む食品:
| 食品 | 含有量(100gあたり) | 特徴 |
| 干しひじき | 620mg | 食物繊維も豊富 |
| アーモンド | 310mg | 間食に最適 |
| 納豆 | 100mg | 発酵食品 |
| ほうれん草 | 69mg | 鉄分も豊富 |
| 玄米 | 110mg | 白米の5倍 |
| 豆腐 | 44mg | 低カロリー |
実践のコツ: 白米を玄米に、間食をナッツに変えるだけで、マグネシウム摂取量が大幅にアップ。
カリウム:血圧調整と筋肉機能
| 項目 | 内容 |
| なぜ必要? | 血圧調整、筋肉・神経機能、体液バランス |
| 何をする? | ナトリウム(塩分)を排出して血圧を下げる、筋肉の収縮を助ける |
| 不足すると | 高血圧、筋力低下、不整脈、便秘 |
| 1日の目標量 | 男性3,000mg以上、女性2,600mg以上 |
カリウムは「ナトリウムの対抗馬」。塩分を摂りすぎている人ほど、カリウムを意識して摂る必要があります。
カリウムを多く含む食品:
| 食品 | 含有量(100gあたり) | 特徴 |
| 干しひじき | 6,400mg | 最強のカリウム源 |
| アボカド | 720mg | 良質な脂質も |
| バナナ | 360mg | 手軽に摂れる |
| ほうれん草 | 690mg | 鉄分も豊富 |
| さつまいも | 470mg | 食物繊維も |
| 納豆 | 660mg | 発酵食品 |
注意: 腎臓病の方はカリウムの摂取制限が必要な場合があります。医師に相談してください。
ナトリウム:体液バランスの調整役
| 項目 | 内容 |
| なぜ必要? | 体液の浸透圧調整、神経伝達、筋肉収縮 |
| 何をする? | 細胞外液の主要成分、神経インパルスの伝達 |
| 不足すると | 低血圧、筋肉けいれん、倦怠感(通常は不足しにくい) |
| 過剰だと | 高血圧、胃がんリスク、むくみ |
| 1日の目標量 | 食塩相当量として男性7.5g未満、女性6.5g未満 |
日本人の塩分摂取量は平均約10g/日で、目標値を大きく超えています 。減塩が重要です。
減塩のコツ:
•出汁をきかせて塩分を減らす
•レモン、酢、香辛料で味付け
•加工食品を控える
•カリウムを増やしてナトリウムを排出
塩素:胃酸と体液バランス
| 項目 | 内容 |
| なぜ必要? | 胃酸(塩酸)の材料、体液の浸透圧調整 |
| 何をする? | 胃酸を構成して消化を助ける |
| 不足すると | 消化不良(通常は不足しにくい) |
| 1日の目安量 | 食塩から十分に摂取 |
塩素は食塩(塩化ナトリウム)から摂取されるため、通常は不足しません。
硫黄:タンパク質の構成要素
| 項目 | 内容 |
| なぜ必要? | タンパク質の構成、解毒作用、皮膚・髪・爪の健康 |
| 何をする? | 含硫アミノ酸(メチオニン、システイン)の構成要素 |
| 不足すると | 皮膚・髪・爪の異常(通常は不足しにくい) |
硫黄はタンパク質を含む食品から摂取されるため、タンパク質を十分に摂っていれば不足しません。
多い食品: 肉、魚、卵、大豆、ニンニク、タマネギ
微量ミネラル(9種類)
鉄:酸素を運ぶ赤血球の材料
| 項目 | 内容 |
| なぜ必要? | 赤血球(ヘモグロビン)の材料、酸素運搬、エネルギー代謝 |
| 何をする? | 酸素を全身に運ぶ、筋肉(ミオグロビン)に酸素を貯蔵 |
| 不足すると | 貧血、疲労感、集中力低下、冷え性、息切れ |
| 1日の推奨量 | 男性7.5mg、女性10.5mg(月経あり) |
鉄は日本人女性の約20%が不足しています 。特に月経のある女性、妊婦、成長期の子供は注意が必要です。
鉄の種類と吸収率:
| 種類 | 吸収率 | 多い食品 |
| ヘム鉄(動物性) | 15〜25% | レバー、赤身肉、カツオ、マグロ |
| 非ヘム鉄(植物性) | 2〜5% | ほうれん草、小松菜、大豆、ひじき |
吸収率を上げるコツ: ビタミンCと一緒に摂る(レモン、キウイ)。タンニン(お茶、コーヒー)は食事中は控える。
亜鉛:免疫と味覚の守護神
| 項目 | 内容 |
| なぜ必要? | 酵素の活性化、免疫機能、味覚、生殖機能、傷の治癒 |
| 何をする? | 200以上の酵素に関与、細胞分裂を助ける |
| 不足すると | 味覚障害、免疫力低下、肌荒れ、傷の治りが遅い、脱毛 |
| 1日の推奨量 | 男性11mg、女性8mg |
亜鉛は「セックスミネラル」とも呼ばれ、男性の生殖機能に重要です。また、風邪の予防・回復にも効果があるとされています 。
亜鉛を多く含む食品:
| 食品 | 含有量(100gあたり) | 特徴 |
| 牡蠣 | 13.2mg | 最強の亜鉛源 |
| 牛肉(赤身) | 4.5mg | ヘム鉄も豊富 |
| 豚レバー | 6.9mg | ビタミンも豊富 |
| カシューナッツ | 5.4mg | 間食に |
| 卵 | 1.3mg | 手軽に摂れる |
実践のコツ: 月に2〜3回は牡蠣を食べる。難しければ、牛肉やナッツを意識的に。
銅:鉄の吸収を助ける
| 項目 | 内容 |
| なぜ必要? | 鉄の代謝、抗酸化、コラーゲン合成、神経機能 |
| 何をする? | 鉄をヘモグロビンに組み込む、活性酸素を除去 |
| 不足すると | 貧血(鉄が十分でも)、骨異常、免疫低下 |
| 1日の推奨量 | 0.9mg(成人) |
多い食品: レバー、甲殻類(エビ、カニ)、ナッツ、ココア
マンガン:骨と抗酸化
| 項目 | 内容 |
| なぜ必要? | 骨の形成、抗酸化酵素の材料、糖質・脂質代謝 |
| 何をする? | 骨の石灰化を助ける、SOD(抗酸化酵素)の構成成分 |
| 不足すると | 骨の異常、成長障害(通常は不足しにくい) |
| 1日の目安量 | 4.0mg(成人) |
多い食品: 全粒穀物、ナッツ、緑茶、パイナップル
ヨウ素:甲状腺ホルモンの材料
| 項目 | 内容 |
| なぜ必要? | 甲状腺ホルモンの材料(代謝調整) |
| 何をする? | 基礎代謝の調整、成長・発達の促進 |
| 不足すると | 甲状腺機能低下、成長障害、代謝低下 |
| 過剰だと | 甲状腺機能異常(海藻の食べすぎに注意) |
| 1日の推奨量 | 130μg(成人) |
日本人は海藻をよく食べるため、ヨウ素は十分に摂取できています。むしろ過剰摂取に注意が必要です。
多い食品: 昆布、わかめ、のり、魚介類
セレン:抗酸化と甲状腺
| 項目 | 内容 |
| なぜ必要? | 抗酸化酵素の材料、甲状腺ホルモン代謝 |
| 何をする? | グルタチオンペルオキシダーゼ(抗酸化酵素)の構成成分 |
| 不足すると | 免疫低下、心筋症(通常は不足しにくい) |
| 1日の推奨量 | 男性30μg、女性25μg |
多い食品: 魚介類、肉類、卵、ブラジルナッツ
クロム:血糖値の調整
| 項目 | 内容 |
| なぜ必要? | インスリンの働きを助ける、血糖値の調整 |
| 何をする? | インスリン感受性を高める |
| 不足すると | 血糖値異常、糖尿病リスク上昇 |
| 1日の目安量 | 10μg(成人) |
多い食品: 全粒穀物、肉類、ブロッコリー、ぶどう
モリブデン:酵素の活性化
| 項目 | 内容 |
| なぜ必要? | 尿酸の代謝、解毒作用 |
| 何をする? | 酸化還元酵素の補因子 |
| 不足すると | まれ(通常の食事で十分) |
| 1日の推奨量 | 男性30μg、女性25μg |
多い食品: 豆類、穀物、レバー
コバルト:ビタミンB12の構成要素
| 項目 | 内容 |
| なぜ必要? | ビタミンB12の構成成分 |
| 何をする? | ビタミンB12として赤血球の生成、神経機能に関与 |
| 不足すると | ビタミンB12欠乏症状(貧血、神経障害) |
コバルトはビタミンB12として摂取するため、動物性食品を食べていれば不足しません。
多い食品: 肉、魚、乳製品(ビタミンB12として)
日本人が不足しがちなミネラル
厚生労働省の調査によると、日本人が特に不足しがちなミネラルは以下の通りです :
| ミネラル | 不足の原因 | 対策 |
| カルシウム | 乳製品の摂取不足 | 牛乳、小魚、豆腐を毎日 |
| マグネシウム | 精製食品中心の食事 | 玄米、ナッツ、海藻を増やす |
| 鉄 | 月経による損失、肉の摂取減少 | レバー、赤身肉を週1〜2回 |
| 亜鉛 | 加工食品中心の食事 | 牡蠣、牛肉、ナッツを意識的に |
ミネラルを効率よく摂る食事例
朝食
•牛乳 or ヨーグルト → カルシウム
•納豆 → マグネシウム、カリウム、亜鉛
•味噌汁(わかめ、豆腐)→ ヨウ素、マグネシウム
•玄米 → マグネシウム、マンガン
昼食
•牛丼(赤身肉)→ 鉄、亜鉛
•ほうれん草のおひたし → 鉄、マグネシウム、カリウム
•しじみの味噌汁 → 鉄、亜鉛
間食
•アーモンド → マグネシウム、亜鉛
•バナナ → カリウム
•チーズ → カルシウム
夕食
•牡蠣フライ(月2〜3回)→ 亜鉛(最強)
•レバニラ炒め(週1回)→ 鉄、亜鉛、銅
•小松菜の炒め物 → カルシウム、鉄
•ひじきの煮物 → カルシウム、マグネシウム、鉄
まとめ:ミネラル摂取のポイント
| ミネラル | 主な働き | 特に多い食品 |
| カルシウム | 骨、神経、筋肉 | 乳製品、小魚、豆腐 |
| マグネシウム | 酵素活性、筋肉弛緩 | ナッツ、海藻、玄米 |
| カリウム | 血圧調整、ナトリウム排出 | バナナ、アボカド、ほうれん草 |
| 鉄 | 酸素運搬、エネルギー | レバー、赤身肉、貝類 |
| 亜鉛 | 免疫、味覚、細胞分裂 | 牡蠣、牛肉、ナッツ |
3つの実践ポイント:
1.白米を玄米に変える(マグネシウム5倍)
2.間食をナッツに(マグネシウム、亜鉛)
3.週1回はレバーか牡蠣(鉄、亜鉛)
次回予告
第4回では、ファイトケミカル(植物由来の機能性成分)について解説します。
ポリフェノール、カロテノイド、イソフラボン——これらの成分は、抗酸化作用や抗炎症作用で、老化防止や病気予防に効果があります。
参考文献
[4] Singh M, Das RR. “Zinc for the common cold.” Cochrane Database Syst Rev. 2013;(6):CD001364.
この記事は「栄養完全ガイド」シリーズの第3回です。
シリーズ一覧:
•第1回:栄養素の基本|三大栄養素の働きと選び方
•第2回:ビタミン完全ガイド|13種類の働きと食品
•第3回:ミネラル完全ガイド|16種類の働きと食品(この記事)
•第4回:身体に良い成分|ファイトケミカルの力
•第5回:身体に悪い成分|避けるべき食品と成分
•第6回:目的別食品ガイド|肉体・精神・社会的健康のための食事
最終更新:2026年1月


コメント