「何を食べればいいかわからない」を解決する、栄養の基礎知識
はじめに
「ダイエットしたいけど、何を食べればいいかわからない」 「糖質制限?脂質制限?タンパク質は多い方がいい?」
こんな悩みを抱えていませんか?
僕自身、37歳で健康診断に引っかかり、ボディメイクを始めたとき、同じ悩みを持っていました。ネットで調べても情報が多すぎて、何が正しいのかわからない。
そこで、科学的な根拠に基づいて「栄養素の基本」を徹底的に調べました。この記事では、その中でも最も重要な三大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質)について、「なぜ必要なのか」「何をするのか」「どう選べばいいのか」をわかりやすく解説します。
この記事を読めば、食事選びの軸ができて、迷いがなくなるはずです。
栄養素の3つの役割
まず、栄養素が体の中で何をしているのかを理解しましょう。栄養素には大きく分けて3つの役割があります。
| 役割 | 内容 | 主な栄養素 |
| エネルギーになる | 体を動かす燃料 | 炭水化物、脂質、タンパク質 |
| 体を作る | 筋肉、骨、血液、臓器の材料 | タンパク質、脂質、ミネラル |
| 体の調子を整える | 代謝、免疫、神経の調整 | ビタミン、ミネラル |
三大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質)は、この3つの役割すべてに関わっています。だからこそ、バランスよく摂ることが大切なのです。
1. 炭水化物(糖質+食物繊維)
炭水化物とは?
炭水化物は「糖質」と「食物繊維」の総称です。多くの人が「炭水化物=太る」と思っていますが、これは誤解です。問題なのは「どんな炭水化物を、どれだけ食べるか」です。
糖質の働き
| 項目 | 内容 |
| なぜ必要? | 脳と体の主要なエネルギー源 |
| 何をする? | ブドウ糖に分解 → 血液で全身に運ばれる → エネルギーに変換 |
| 不足すると | 疲労、集中力低下、筋肉分解 |
| 過剰だと | 肥満、糖尿病、脂肪肝 |
| 1日の目安 | 総エネルギーの50〜65%(厚生労働省推奨) |
脳は1日に約120gのブドウ糖を消費します 。糖質を極端に制限すると、集中力が落ちたり、イライラしやすくなったりするのはこのためです。
良い糖質と悪い糖質
すべての糖質が同じではありません。GI値(グリセミック・インデックス)という指標で、血糖値の上がりやすさを判断できます。
| 分類 | 特徴 | 食品例 | おすすめ度 |
| 低GI食品 | 血糖値がゆるやかに上昇 | 玄米、オーツ麦、そば、さつまいも | ◎ 積極的に |
| 中GI食品 | 中程度の上昇 | 白米、うどん、バナナ | ○ 適量で |
| 高GI食品 | 血糖値が急上昇 | 白パン、白砂糖、清涼飲料水 | △ 控えめに |
ポイント: 「精製されていない」炭水化物を選ぶ。白米より玄米、白パンより全粒粉パン。
食物繊維の働き
食物繊維は「第6の栄養素」とも呼ばれる重要な成分です。
| 種類 | 働き | 多い食品 |
| 水溶性食物繊維 | 善玉菌のエサになる、コレステロール排出、血糖値上昇を抑える | 海藻、オーツ麦、りんご |
| 不溶性食物繊維 | 便のかさを増やす、腸の動きを活発にする | 野菜、キノコ、豆類、玄米 |
日本人の食物繊維摂取量は目標値を大きく下回っています。男性21g以上、女性18g以上が目標ですが、実際の平均摂取量は約14gです 。
実践のコツ: 毎食、野菜・海藻・キノコのどれかを必ず食べる。
2. タンパク質
タンパク質とは?
タンパク質は、筋肉・臓器・皮膚・髪・爪・酵素・ホルモン・抗体など、体のあらゆる部分の材料になる栄養素です。
タンパク質の働き
| 項目 | 内容 |
| なぜ必要? | 体の組織を作る・修復する材料 |
| 何をする? | アミノ酸に分解 → 体内で再合成 → 筋肉、臓器、酵素、ホルモンに |
| 不足すると | 筋肉減少、免疫力低下、肌荒れ、髪のパサつき |
| 過剰だと | 腎臓への負担、カルシウム排出 |
| 1日の目安 | 体重1kgあたり0.8〜1.2g(運動する人は1.5〜2.0g) |
例えば、体重70kgの人なら、1日に56〜84gのタンパク質が必要です。運動している人なら105〜140gが目安になります。
必須アミノ酸
タンパク質は20種類のアミノ酸から構成されています。そのうち9種類は体内で合成できないため、必須アミノ酸と呼ばれ、食事から摂る必要があります。
| アミノ酸 | 働き | 多い食品 |
| ロイシン | 筋肉合成の引き金(最重要) | 鶏肉、牛肉、マグロ |
| イソロイシン | 筋肉のエネルギー源 | 鶏肉、サケ、卵 |
| バリン | 筋肉の修復 | 牛肉、レバー、チーズ |
| トリプトファン | セロトニン・メラトニンの材料(睡眠・精神安定) | バナナ、ナッツ、大豆、乳製品 |
| リジン | コラーゲン合成、カルシウム吸収 | 肉、魚、大豆 |
| メチオニン | 肝機能、解毒、抗酸化 | 卵、魚、ナッツ |
| フェニルアラニン | ドーパミン・ノルアドレナリンの材料 | 肉、魚、大豆 |
| スレオニン | コラーゲン合成、肝臓の脂肪蓄積防止 | 卵、肉、大豆 |
| ヒスチジン | 成長、神経機能 | 肉、魚、大豆 |
特に注目したいのはトリプトファンです。これは「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンや、睡眠ホルモンのメラトニンの材料になります。ダイエット中にイライラしたり、眠れなくなったりするのは、トリプトファン不足が原因かもしれません。
良いタンパク質源
| 食品 | タンパク質量(100gあたり) | 特徴 |
| 鶏胸肉(皮なし) | 23g | 低脂質、イミダゾールペプチド(疲労回復) |
| サケ | 22g | オメガ3、アスタキサンチン(抗酸化) |
| 卵 | 12g | 完全栄養食、コリン(脳機能) |
| 納豆 | 16g | 発酵食品、イソフラボン、ビタミンK2 |
| 豆腐 | 7g | 低カロリー、イソフラボン |
| ギリシャヨーグルト | 10g | 乳酸菌、カルシウム |
実践のコツ: 毎食、手のひらサイズのタンパク質源を食べる。
3. 脂質
脂質とは?
脂質は「太る」イメージが強いですが、実は体にとって不可欠な栄養素です。問題は「どんな脂質を摂るか」です。
脂質の働き
| 項目 | 内容 |
| なぜ必要? | 細胞膜の材料、ホルモンの材料、脂溶性ビタミンの吸収 |
| 何をする? | 脂肪酸に分解 → 細胞膜・ホルモン合成 / エネルギー貯蔵 |
| 不足すると | 肌荒れ、ホルモン異常、脂溶性ビタミン不足 |
| 過剰だと | 肥満、動脈硬化、心疾患 |
| 1日の目安 | 総エネルギーの20〜30% |
脂肪酸の種類
脂質の質を決めるのは「脂肪酸」の種類です。これを理解すれば、何を食べるべきかが明確になります。
| 種類 | 働き | 評価 | 多い食品 |
| オメガ3(EPA、DHA、α-リノレン酸) | 抗炎症、脳機能向上、血液サラサラ | ◎ 積極的に摂る | 青魚、亜麻仁油、くるみ |
| オメガ9(オレイン酸) | 悪玉コレステロール低下 | ○ 良い | オリーブオイル、アボカド |
| 中鎖脂肪酸(MCT) | 素早くエネルギーに変換 | ○ 良い | ココナッツオイル |
| オメガ6(リノール酸) | 細胞膜の材料 | △ 摂りすぎ注意 | サラダ油、大豆油 |
| 飽和脂肪酸 | エネルギー源 | △ 摂りすぎ注意 | 肉の脂身、バター |
| トランス脂肪酸 | なし(有害) | ✕ 避ける | マーガリン、ショートニング |
オメガ3とオメガ6のバランス
現代人の食生活では、オメガ6(サラダ油など)を摂りすぎて、オメガ3(青魚など)が不足しています。理想的な比率はオメガ6:オメガ3 = 4:1以下ですが、実際は10:1〜20:1になっている人が多いです 。
このバランスの乱れは、慢性炎症の原因となり、肥満、糖尿病、心疾患、うつ病などのリスクを高めます。
実践のコツ:
•サラダ油をオリーブオイルに置き換える
•週に2〜3回は青魚(サバ、サケ、イワシ)を食べる
•ナッツ(特にくるみ)を間食に
避けるべき脂質:トランス脂肪酸
トランス脂肪酸は、心血管疾患のリスクを大幅に高める有害な脂質です。WHOは2023年までに食品からの排除を目標としていました 。
| 多い食品 | 対策 |
| マーガリン | バターまたはオリーブオイルに |
| ショートニング | 原材料表示を確認 |
| 揚げ物(外食) | 自宅で良質な油で調理 |
| 菓子パン、ドーナツ | 控えめに |
PFCバランスの考え方
三大栄養素のバランスを「PFCバランス」と呼びます。
•P(Protein): タンパク質
•F(Fat): 脂質
•C(Carbohydrate): 炭水化物
目的別PFCバランス
| 目的 | P(タンパク質) | F(脂質) | C(炭水化物) |
| 一般的な健康維持 | 15〜20% | 20〜30% | 50〜65% |
| ダイエット(減量) | 25〜30% | 20〜25% | 45〜55% |
| 筋肉増量 | 25〜35% | 20〜30% | 40〜50% |
ダイエット中は、タンパク質を多めに摂ることで筋肉の分解を防ぎ、基礎代謝を維持できます。
1日の食事例
実際にどう食べればいいのか、具体例を紹介します。
朝食
•玄米(茶碗1杯)→ 低GI炭水化物、食物繊維
•味噌汁(わかめ、豆腐)→ 発酵食品、タンパク質、食物繊維
•納豆 → タンパク質、発酵食品
•卵(ゆで卵 or 目玉焼き)→ タンパク質、コリン
•緑茶 → カテキン(抗酸化)
昼食
•サケ定食
•サケ → タンパク質、オメガ3、アスタキサンチン
•野菜 → 食物繊維、ビタミン
•玄米 → 低GI炭水化物
間食
•ナッツ(くるみ、アーモンド)→ オメガ3、ビタミンE
•ブルーベリー → アントシアニン(抗酸化)
•ダークチョコ(カカオ70%以上)→ ポリフェノール
夕食
•鶏胸肉 → タンパク質、イミダゾールペプチド(疲労回復)
•野菜たっぷり味噌鍋 → 食物繊維、発酵食品
•雑穀米(少なめ)→ 低GI炭水化物、食物繊維
まとめ:三大栄養素の選び方
| 栄養素 | 選ぶべきもの | 避けるべきもの |
| 炭水化物 | 玄米、オーツ麦、そば、さつまいも | 白砂糖、精製小麦、清涼飲料水 |
| タンパク質 | 鶏胸肉、魚、卵、大豆、乳製品 | 加工肉(ハム、ソーセージ) |
| 脂質 | オリーブオイル、青魚、ナッツ、アボカド | トランス脂肪酸、サラダ油の過剰摂取 |
3つの実践ポイント:
1.炭水化物は「精製されていない」ものを選ぶ
2.毎食、手のひらサイズのタンパク質を摂る
3.油はオリーブオイル、週2〜3回は青魚を食べる
次回予告
第2回では、ビタミン13種類の働きと、不足しやすいビタミンの効率的な摂り方を解説します。
「疲れやすい」「肌荒れが気になる」「風邪をひきやすい」——これらの悩みは、ビタミン不足が原因かもしれません。
参考文献
[4] 日本人の食事摂取基準(2020年版 )タンパク質の目標量
この記事は「栄養完全ガイド」シリーズの第1回です。
シリーズ一覧:
•第1回:栄養素の基本|三大栄養素の働きと選び方(この記事)
•第2回:ビタミン完全ガイド|13種類の働きと食品
•第3回:ミネラル完全ガイド|16種類の働きと食品
•第4回:身体に良い成分|ファイトケミカルの力
•第5回:身体に悪い成分|避けるべき食品と成分
•第6回:目的別食品ガイド|肉体・精神・社会的健康のための食事
最終更新:2026年1月



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